1章2節問1の解答
命題2-1
位相空間$\langle X, \mathfrak{O} \rangle$,$\langle X',\mathfrak{O} \rangle'$および写像$f\colon X\rightarrow X'$に対して次は同値である.(1)$f$は連続写像である.
(2)$X'$の任意の部分集合$S'$に対して$f^{-1}[{\mathop{\mathrm{int}}\nolimits}_{X'}(S')] \subset {\mathop{\mathrm{int}}\nolimits}_X(f^{-1}[S'])$が成立する.
(3)$X'$の任意の部分集合$S'$に対して$f^{-1}[{\mathop{\mathrm{cl}}\nolimits}_{X'}(S')] \supset {\mathop{\mathrm{cl}}\nolimits}_X(f^{-1}[S'])$が成立する.
証明
(1)と(2)の同値性を示す. まず(1)を仮定しよう. $X'$の部分集合$S'$を任意にとるとき, ${\mathop{\mathrm{int}}\nolimits}_{X'}(S') \subset S'$が成立するので逆像に関して$f^{-1}[{\mathop{\mathrm{int}}\nolimits}_{X'}(S')] \subset f^{-1}[S']$が成立する. このとき(1)より$f$は連続であるから$f^{-1}[{\mathop{\mathrm{int}}\nolimits}_{X'}(S')]$が開集合であることが分かり, 開核の最大性に留意すれば$f^{-1}[{\mathop{\mathrm{int}}\nolimits}_{X'}(S')] \subset {\mathop{\mathrm{int}}\nolimits}_X(f^{-1}[S'])$が成立する. 逆に(2)を仮定する. このとき$X'$の開集合$O'$を任意にとると, 仮定より$f^{-1}[O]=f^{-1}[{\mathop{\mathrm{int}}\nolimits}_{X'}(O')] \subset {\mathop{\mathrm{int}}\nolimits}_X(f^{-1}[O'])$が成立する. 一方,一般に$f^{-1}[O] \supset {\mathop{\mathrm{int}}\nolimits}_X(f^{-1}[O'])$が成立するので, $f^{-1}[O]={\mathop{\mathrm{int}}\nolimits}_X(f^{-1}[O'])$が分かる. よって$O'$の取り方は任意であるので$f$が連続であることが得られる.次に(1)と(3)の同値性を示すが,これは(1)と(2)の同値性と殆ど同様である. まず(1)を仮定しよう. $X'$の部分集合$S'$を任意にとるとき, ${\mathop{\mathrm{cl}}\nolimits}_{X'}(S') \supset S'$が成立するので逆像に関して$f^{-1}[{\mathop{\mathrm{cl}}\nolimits}_{X'}(S')] \supset f^{-1}[S']$が成立する. このとき(1)より$f$は連続であるから$f^{-1}[{\mathop{\mathrm{cl}}\nolimits}_{X'}(S')]$が閉集合であることが分かり, 閉包の最小性に留意すれば$f^{-1}[{\mathop{\mathrm{cl}}\nolimits}_{X'}(S')] \supset {\mathop{\mathrm{cl}}\nolimits}_X(f^{-1}[S'])$が成立する. 逆に(3)を仮定する. このとき$X'$の閉集合$C'$を任意にとると, 仮定より$f^{-1}[C']=f^{-1}[{\mathop{\mathrm{cl}}\nolimits}_{X'}(C')] \supset {\mathop{\mathrm{cl}}\nolimits}_X(f^{-1}[C'])$が成立する. 一方,一般に$f^{-1}[C'] \subset {\mathop{\mathrm{cl}}\nolimits}_X(f^{-1}[C'])$が成立するので, $f^{-1}[C']={\mathop{\mathrm{cl}}\nolimits}_X(f^{-1}[C'])$が分かる. よって$C'$の取り方は任意であるので$f$が連続であることが得られる.